突然ですが、あなたは「アイルランド」という名称を聞くとどの国のことを思い浮かべますか?
アイルランドという名前のつく国なんてそんなにたくさんある?と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
たくさんではありませんが、二つあります。ですが、これはアイルランド現地やお隣イギリスに住んでいないと中々なじみにくいコンセプトで、よって誤解が起きやすいポイントでもあります。現地に到着してから混乱を起こしてしまわないよう、2ヵ国の違いの基礎を理解していきましょう。
アイルランド島には2つの国が存在している
- これはアイルランド島を表した地図です。見ると、北東の位置にある境界線により陸が二つに分けられているのがわかります。
〇色に塗られているのが、正式国名「Republic of Ireland」、アイルランド共和国です。一般的に「アイルランド」というと、このアイルランド共和国のことを指します。
そして〇色に塗られているのは正式国名「Northern Ireland」という別の国です。ともに「Ireland」の名称が入っていながら、それぞれ違う国であり、旅行や留学に行くにあたって知っておくべきことも異なります。
以下では、この混合されやすい「アイルランド共和国」と「北アイルランド」の概要と違いについて説明します。
「北アイルランド」という国について
北アイルランドがアイルランド共和国と違った国であることをご説明しましたが、北アイルランドは皆さんのよく知るイギリスの一部。イギリス(正式名称:グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)はイングランド、スコットランド、そしてウェールズと北アイルランドから成り、北アイルランドはイギリスの一部なのです。
オリンピックではこの4つの国を合わせてイギリス代表として参加をしますが、イギリスに属する国や地域が参加するコモンウェルスゲームズのときやサッカーワールドカップなどは単独参加になります。日本でも話題になったラグビーでは、北アイルランドと共和国を合わせてアイルランド代表チームをして出場しました。
基本的に「アイルランド」「アイリッシュ」と言うと共和国や共和国出身の人のことを指しますが、北アイルランドの方が自分のことを「アイリッシュ」と呼ぶのか「ブリティッシュ」と呼ぶのかは個人によるそうです。
もともとは共和国もイギリスの一部でしたが、イースター蜂起をきっかけにアイルランドの人々がイギリスからの独立を目指し動き出したことが現在の北アイルランドと共和国の状態に繋がっています。その後独立戦争を経て南側(現共和国)はアイルランド自由国として独立しましたが、イングランド系、またスコットランド系の移民が多かった北アイルランドは今もイギリスの一部として残っています。
国の概要・違いをまとめた表
|
アイルランド共和国 |
北アイルランド |
正式国名 |
Republic of Ireland / Éire |
Northern Ireland / Tuaisceart Éireann |
国土面積 |
70,282km2 |
14,130km2 |
人口 |
約459万人 |
約189万人 |
国旗 |
|
|
独立した主権国家である |
はい |
いいえ:イギリス(正式名:グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国)の一部 |
首都 |
ダブリン |
ベルファスト |
通貨 |
ユーロ € |
ポンド £ |
国番号 |
+353 |
+44 |
使用する単位 |
メトリック式が主流 |
インペリアル式が主流(スピードリミットはマイル表記) |
宗教 |
カトリック系が多い |
プロテスタント系が多い |
旅行の時にやってしまいがちな失敗
アイルランド滞在中、せっかくなのでお隣に旅行にも行こうと思うこともあるかもしれません。ですが、いくら国名が似ていて陸続きに繋がっているとは言え、「アイルランド共和国」と「北アイルランド」は外国同士です。
このことを忘れて現地入りすると、思わぬ場で焦ることにもなりかねません。国境を渡る前に、失敗の要因は把握してしっかり準備しておくようにしましょう。
失敗1:間違った現地通貨を持って行く
ユーロ圏であるアイルランド共和国と、そうではないイギリスの一部、北アイルランドとでは現地の通貨が違います。このことを忘れていると、両替をしないで行った結果、現地で何も買えないという事態に直面するかもしれません。
現地通貨は、アイルランド共和国が「ユーロ」、北アイルランドが「ポンド」です。忘れないようにしましょう。
しかしながら、両国ともポンドとユーロどちらとも使える、もう片方の通貨を出してみたら受け取ってもらえたという話も聞きます。
国境に近い場所に位置していたり規模が大きい店なら、観光客の多さに対応してポンドとユーロどちらも受け取りを可能にしていることはあるかもしれませんが、これを島全体の当たり前とは思わない方が賢明です。念のため、キャッシュは現地通貨で用意しておきましょう。
すぐに現金の両替ができるかどうか分からない場合に備え、現地でも使えるクレジットカードを持っておくとより安心です。
ポイント:紙幣は柄が違います
実はポンド紙幣は、イングランド+ウェールズ・スコットランド・北アイルランドという分け方をして3種類違うデザインが存在します。つまり、北アイルランドのポンド紙幣はイングランド、ウェールズ、そしてスコットランドで一般的に出回っているものとデザインが異なるのです。
デザインが違うだけで額面価格は同じなのだからどこのものを使っても大丈夫だろう…と思いきや、実はそう簡単にいかないこともあります。
これも基本的には店ごとの判断になりますが、北アイルランド国内ではイングランド・ウェールズやスコットランドのポンド紙幣の受け取りが拒否される場合もあり、逆もまたしかりです。
北アイルランドにしばらく滞在予定の場合は念のために現地の銀行や郵便局で現地のポンド紙幣に両替してもらうのが確実でしょう。
失敗2:片方の国のビザがもう片方でも有効だと誤解する
ほとんどの場合は、移動をしている本人の国籍関係なく、国境を越える時にパスポートコントロール(移民審査)の実施はありません。現在は一般的な国境のように境界がはっきりしているわけではなく標識が掲げられているのみのため、看板の違いで国境を越えたことに気づく、なんていうお話もあります。
ただ、再度認識しておきたいのは北アイルランドはイギリスの一部であるということ。共和国から北アイルランドに入るのは、共和国からロンドンに旅行に行くことと変わりありません。日本国籍の方はビザなしでイギリスに入国をすることができますが、イギリスで有効なビザを所有している必要があるということを認識しておきましょう。アイルランドの有効なビザをお持ちの場合は、何か特別な手続きをせずともアイルランドに再入国が可能ですが、共和国に観光ビザで滞在中であり北アイルランド滞在中に観光ビザが切れてしまう場合は再度新しい観光ビザで入国となるため注意しましょう。
アイルランド共和国はイギリスとは別の国ですので、イギリスのYMSでは共和国では働けませんし、アイルランドの学生ビザやワーキングホリデービザで北アイルランドで働くこともできません。誤解しないように注意が必要ですし、国境を越える際は身分証明書という意味も兼ねてパスポートは携帯しておきましょう。
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